蕁麻疹
一過性に出現する皮膚の発赤を伴う限局性の浮腫であり、痒みを伴います。時間と共に症状が変化するのが特徴で受診時に症状がないことも珍しくはありません。発疹の出没が6週間以上続くものを慢性蕁麻疹、 6週間以内に出没がみられなくなるものを急性蕁麻疹とよんで区別しています。
蕁麻疹は代表的なⅠ型アレルギー疾患で、原因物質(アレルゲン)は食物、食品添加物、薬剤、吸入抗原など多種にわたるといわれています。しかしながら実際に蕁麻疹の原因を特定するのは容易ではなく、特に慢性蕁麻疹の8 割以上の症例ではその原因を明らかにするのは困難であり、特発性蕁麻疹とよばれます。蕁麻疹の原因を調べてほしいとアレルギー検査を希望される患者さんは多いのですが、実際調べてみても何の異常も見つからない人の方が圧倒的に多く、蕁麻疹の診療ガイドラインでも蕁麻疹というだけで安易にスクリーニング的な検査を行うことは慎むべきであると記載されています。
症状は、突然出現する境界明瞭な類円形のやや隆起した浮腫性紅斑で、数時間のオーダーで消失するが、皮疹が次々新生します。重症の場合は下痢や発熱、喘息様症状、さらに気道粘膜の浮腫による呼吸困難、まれにアナフィラキシーによるショック症状を呈することもあります。果物や野菜、大豆製品などを摂取した後に口腔粘膜の違和感、さらには蕁麻疹、アナフィラキシーを起こすものを口腔アレルギー症候群といいますが、その中でも感作アレルゲンが花粉である花粉-食物アレルギー症候群(pollen-food allergy syndrome, PFAS)が最近注目されています。
治療は抗ヒスタミン薬の内服が主体であり、重症例では抗体製剤が用いられることもあります。