帯状疱疹
一度水痘(みずぼうそう)に罹ると脊髄にウイルスが潜伏感染しますが、帯状疱疹は疲労などで体の抵抗力が弱ったときに潜伏していたウイルスが再活性化し発症する病気です。顔、首、胸、背中、などの左右どちらか一方の皮膚にまず痛みが生じ、ついで紅斑、水疱が現れ、水疱がやぶれるとただれや潰瘍を生じ、しばらくしてかさぶたとなり、それが自然とはがれ落ち皮膚が元の状態へ戻っていく病気です。
発症してから治癒までの期間は大体2~3週といわれています。後遺症としての帯状疱疹後神経痛がしばしば問題となります。発症の早期から抗ウイルス薬の内服もしくは点滴を行い、痛みに対しては痛み止めや神経ブロックなどの治療を行います。帯状疱疹は高齢者に多い病気ですが、高齢化社会が進むことで帯状疱疹患者はますます増えると思われます。
弱毒生水痘ワクチンが2014年10月から定期接種化され、1~2歳児は原則無料で2回の接種が受けられるようになりました。水痘は年間100万人が発症していたそうですが、予防接種の普及で患者数が激減しました。一方、水痘患者が減少した結果このウイルスに曝露される機会が減り、免疫増強が得られなくなった結果帯状疱疹の患者数が増加する傾向にあります。宮崎県での大規模疫学調査でも帯状疱疹の流行と水痘の流行は逆の関係にあることが示されています。
弱毒生水痘ワクチンは50歳以上で帯状疱疹の予防にも使用可能となりました(保険適用外)。1回の接種で済み費用も安めですが、有効性と効果持続期間でユニットワクチンに劣り、妊婦や免疫機能に異常のある疾患患者や免疫抑制療法中の患者には接種することができません。一方ユニットワクチンであるシングリックスは有効性が高く効果の持続期間も10年程度と長いのですが、2か月間隔で2回打たねばならず、副反応の頻度も多く価格が高いのが問題点です。